サブクレードK 今後どうなる？2025-26シーズンの見通しと注意点
時点で、インフルエンザA型H3N2の新系統「サブクレードK」は、欧州・北米・日本など北半球各地で今季の流行を押し上げていると報告されています。欧州疾病予防管理センター（ECDC）は、世界のH3N2配列の約1/3、EU/EEAでは約半数がサブクレードKと推定し、今季を要注意シーズンと評価しています。ただし、インフルエンザの流行は毎年「読みにくい」ため、あくまでシナリオとして押さえておくことが大切です。
いま世界と日本でサブクレードKはどうなっている？
2025年秋〜冬にかけて、サブクレードKは南半球シーズン終盤から北半球へ広がり、例年より早い時期の流行開始を各地で引き起こしています。
| 地域・指標 | 現状（2025年11〜12月頃の公表情報） |
|---|---|
| 世界全体 | 2025年5〜11月に報告されたH3N2配列の約33％がサブクレードK、EU/EEAでは約47％。 |
| 欧州（EU/EEA） | インフルエンザの立ち上がりがここ2シーズンより3〜4週間早く、サブクレードKが主な推進役と評価。 |
| 英国 | 2025/26シーズン序盤はH3N2の多くがサブクレードKで、ワクチン効果の早期評価が実施されている。 |
| 北米 | 米国・カナダでも、遺伝子解析されたH3N2の半数前後がサブクレードKと報告。シーズン前から「厳しい冬」になる懸念が示されている。 |
| 日本 | H3N2の一部がサブクレードKで、早期から流行を押し上げているとされる。全国的な流行宣言や小児の入院増加が報じられている。 |
この章の要点
- サブクレードKは「H3N2の新しい枝」で、世界のH3N2の中で大きな割合を占めつつある。
- 欧州・日本などでは、例年より早くインフルエンザ流行が始まり、その一因がサブクレードKとみられている。
- 流行の規模は地域差があるものの、少なくとも「静かなシーズン」ではなさそうというのが専門家の共通した見方。
今後の流行シナリオ：どこまで拡大しそう？
インフルエンザの「未来予想図」は毎年外れやすいものの、現在のデータからはおおまかに2〜3のシナリオが考えられています。
| シナリオ | イメージ | ポイント |
|---|---|---|
| ① やや厳しいシーズン | サブクレードKが主流になり、感染者数・入院は昨シーズンと同程度か少し多い。 | ワクチンの重症化予防効果と、ある程度の感染対策が働き、医療逼迫は限定的。 |
| ② 厳しいピークシーズン | サブクレードK＋低いワクチン接種率が重なり、地域によっては入院が急増。 | 流行ピークが早く、短期間に集中する可能性。高齢者・小児の集中治療が増える懸念。 |
| ③ やや落ち着いたシーズン | 早い流行立ち上がりの後、ピークは昨シーズンより低めで収束。 | 一部のモデルでは「昨季より低めのピーク」との予測もあり、最終的な規模は不確実。 |
どのシナリオになるかは、ワクチン接種率・人の行動・学校や職場での対策など、人間側の要因にも左右されます。
この章の要点
- 今季は「例年より軽いシーズン」とは予想されておらず、少なくとも中等度以上の流行が見込まれている。
- 最悪のケースでは、ワクチン接種率の低さが重なり、入院や死亡が増える可能性が指摘されている。
- 一方で、対策次第ではピークを抑えられる可能性もあり、「決まった未来」ではない。
ワクチンは今後どこまで効く？サブクレードKと効果の関係
サブクレードKは今季のH3N2ワクチン株と抗原性のズレ（ミスマッチ）があることが分かっています。その一方で、各国の早期データからは「重症化・入院に対しては一定の防御効果が残っている」ことも示されています。
| 地域 | 指標 | 早期評価の結果（目安） |
|---|---|---|
| 英国 | 小児の入院予防効果 | 2〜17歳におけるインフル関連入院を約70〜75％減らしているとの推定。 |
| 英国・成人 | 成人の入院予防効果 | 成人では30〜40％程度と推定され、完全ではないが意味のある効果。 |
| 欧州全体 | 重症化予防 | ECDCは「感染予防効果は低下しても、重症化予防には引き続き重要」と評価し、接種を強く推奨。 |
まとめると、
- 「打ってもかかる人」は今季多くなる可能性がある
- それでも「打っておけば重症になりにくい」という意味は大きい
- 接種率が上がるほど、社会全体のピークも抑えやすい
この章の要点
- サブクレードKはワクチン株と合っていない部分があるが、入院や重症化を減らす効果は確認されつつある。
- 特に高齢者・基礎疾患のある人・子どもでは、ワクチンのメリットが大きいと評価されている。
- 「感染を完全に防ぐものではない」という前提で、それでも“保険”として接種を考えるのが現実的。
今後に備えて大人・家庭ができる現実的な準備
サブクレードKの今後は不確実ですが、個人・家庭レベルでやるべきことはほぼ決まっています。
| カテゴリ | 具体的な行動 |
|---|---|
| ワクチン | 自分・家族（特に高齢者・基礎疾患・妊婦・子ども）の接種を検討する。まだ間に合う場合は早めに。 |
| 日常の対策 | 手洗い、マスク（混雑した屋内・通勤電車など）、定期的な換気、人混みを避ける行動を「続けやすい範囲で」習慣に。 |
| 体調管理 | 睡眠・栄養・口腔ケアを整え、体調が悪いときは無理に出勤・登校しない。 |
| 備え | 体温計、解熱鎮痛薬（使用前に医師・薬剤師に相談）、経口補水液、マスク、ティッシュなどを自宅にストック。 |
この章の要点
- サブクレードK専用の「特別な対策」が必要になるわけではなく、インフル全般に共通する基本対策の徹底が重要。
- ワクチン＋日常の感染対策＋体調管理の3本柱で、「かからない／重くならない」確率を上げていくイメージが現実的。
- 家庭内にハイリスクの家族がいる場合は、準備と早めの相談・受診のハードルを低くしておくと安心。
