ノロウイルスの出席停止はいつまで?法律と実際の運用をやさしく解説
現在、ノロウイルスは冬場を中心に学校や保育園で流行しやすい感染症ですが、インフルエンザのようにはっきりした「◯日間の出席停止」という決まりはありません。そのため、「出席停止になるの?」「いつまで?」と保護者が迷いやすいテーマです。ここでは、学校保健安全法の位置づけと、実際の学校現場での運用のイメージを整理します。
ノロウイルスは法律上どんな扱い?「その他の感染症」と出席停止
学校保健安全法では、学校で予防すべき感染症を「第1〜3種」と「その他の感染症」に分け、種類ごとに出席停止の基準を定めています。
| 区分 | 代表的な病気 | 出席停止の決め方 |
|---|---|---|
| 第1〜3種の学校感染症 | インフルエンザ、麻しん、水ぼうそう など | 病名ごとに「発症後◯日〜」など、法律上の出席停止期間が明記されている。 |
| その他の感染症 | 感染性胃腸炎(ノロなど)、手足口病、伝染性紅斑 等 | 法律で日数は決まっておらず、学校医の意見や流行状況を踏まえて、校長が出席停止の必要性や期間を判断する。 |
ノロウイルスは多くの場合、「感染性胃腸炎」「流行性嘔吐下痢症」としてこのその他の感染症に含まれます。そのため、一律の出席停止日数はなく、学校や自治体ごとの基準・医師の判断に基づいて運用されます。
この章のポイント
- ノロウイルスは「その他の感染症」として扱われ、法律に明確な日数の規定はない。
- 出席停止にするかどうか・いつまでかは学校医と校長の裁量に委ねられている。
- そのため、自治体や学校によって運用が少しずつ違うことがある。
「出席停止」と「欠席」のちがいを整理
保護者として知っておきたいのが、「出席停止」と通常の「欠席」のちがいです。
| 区分 | 扱い | ノロウイルスの場合のイメージ |
|---|---|---|
| 出席停止 | 学校保健安全法第19条に基づき、校長が出席を停止する措置。成績・出席日数の上では「欠席扱いにならない」。 | ノロが原因の「感染性胃腸炎」が、流行状況などに応じて第3種相当として出席停止扱いになることがありうる。 |
| 通常の欠席 | 保護者判断や医師の指示で休んだ場合。欠席日数にはカウントされる。 | ノロの場合、多くは「その他の感染症」として学校の登校目安に従い、欠席扱いで調整するケースも多い。 |
ノロが流行していない状況では、「欠席」扱いとして休むだけの学校もあれば、学年や地域で流行が拡大しているときは「出席停止」措置をとる学校もあります。
この章のポイント
- 出席停止になると、休んでも「欠席扱いにならない」メリットがある。
- ノロは状況により、欠席扱いで対応する学校と、出席停止とみなす学校がある。
- どちらの扱いかは、学校の説明や通知文で必ず確認しておくと安心。
実際にはいつまで出席停止(または欠席)すべき?目安一覧
法律で日数が決まっていないため、医療機関や海外の公的機関が示す目安が参考にされています。
| 段階 | 登校・出席停止の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 症状がある間 | 嘔吐・水様便・発熱・強い腹痛がある間は出席停止(または欠席)が必要。 | 本人がつらいだけでなく、吐瀉物や便を介した集団感染のリスクが高い。 |
| 症状消失〜48時間 | 多くの公的機関が症状消失後48時間(2日)は学校・職場・施設を休むよう推奨。 | 症状が治っても、短期間は便などからウイルスが出続ける可能性があるため。 |
| その後 | 日本の小児科クリニックでは、「下痢・嘔吐が軽快し、全身状態がよく普段どおりの食事がとれていれば登校可」という目安が紹介されている。 | 最終的な登校再開の可否は、医師の診断と学校の判断による。 |
つまり、「いつまで出席停止か?」という問いに対しては、
- 症状がある間 → 出席停止(または欠席)
- 症状が治まってから → 少なくとも2日程度は自宅で様子を見る
- その後 → 医師と学校が「感染の恐れが低い」と判断した時点で解除
という流れで考えるのが現実的です。
この章のポイント
- 出席停止が「いつまでか」は、症状の経過+48時間前後を一つの目安にしつつ決まる。
- 「医師の判断」と「学校側の方針」がそろって初めて安心して復帰できる。
- 迷ったときは、自己判断せず学校と医師に必ず相談する。
園・学校でよく見られる運用例
実際の現場では、次のような運用をしている園・学校が多いとされています。
| 施設 | よくある運用例 |
|---|---|
| 保育園・こども園 | 嘔吐・下痢が治まり、全身状態が良好で普段の食事がとれてから、2日ほど様子を見て登園可。登園許可証や登園届の提出を求めることも多い。 |
| 幼稚園・小学校 | 症状消失後48時間程度で登校可としつつ、流行状況によっては学校長が出席停止扱いとする場合がある。 |
| 中学校・高校 | 基本は小学校と同様だが、部活動や受験との兼ね合いもあり、医師の診断書や学校独自の基準に従うことが多い。 |
この章のポイント
- 園・学校ごとに書式(登園許可証・登校許可証・登園届など)や運用ルールが異なる。
- 初めてのノロの場合は、あらかじめ園・学校のルールを確認しておくと慌てにくい。
- 流行期には、同じ自治体内で基準をそろえる動きもあり、年度ごとに通知が変わることもある。
保護者が押さえておきたい「出席停止」3つのポイント
最後に、「出席停止」をめぐって保護者が押さえておくと安心なポイントをまとめます。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 1. 法律日数は決まっていない | ノロウイルスはその他の感染症であり、インフルエンザのような「◯日間」といった一律の規定はない。 |
| 2. 最終判断者は医師+学校 | 出席停止にするか・いつ解除するかは、医師の診断と学校長の判断で決まる。 |
| 3. 家庭での目安は「症状消失+48時間」 | 公的機関の多くが、症状が治まってから少なくとも48時間は休むよう推奨しており、家庭での判断の目安にもなる。 |
この章のポイント
- 「何日」と機械的に数えるよりも、症状の経過+医師と学校の判断を重視する。
- 欠席か出席停止かで扱いが変わるので、学校からの案内文をよく読む。
- この記事は一般的な情報であり、最終的な判断は必ず医師・学校の指示を優先する。

