建築面積とは?定義・計算ルール・入る/入らない一覧【保存版】
結論サマリ
- **建築面積=建物を真上から見た“屋根の水平投影面積”**が基本。
- 原則は外周(屋根端)で囲まれた面積だが、庇(ひさし)は外壁から1m以内の張出しは不算入、1m超は超過分を算入。
- 屋根+柱がある部分(ポーチ、カーポート、ピロティ等)は壁が無くても“建築面積に入る”。
- 建ぺい率=建築面積 ÷ 敷地面積。許容建ぺい率の判定に使う。
1. 定義(法令の考え方をやさしく)
- 建築基準法施行令ベースの実務解釈:
建築面積=建築物の外周部の水平投影面積(=上から落とした影の面積に相当)。 - 例外ルール:
- 庇・バルコニー等の張出しが外壁から1m以内 → 原則不算入。
- 1mを超える張出し → 超えた分を算入。
- 柱で支えられた屋根付き部分(ポーチ、カーポート、ピロティの真下など) → 算入。
- ※細かな運用は自治体通達で差が出る場合あり。最終判断は所管の建築指導課で確認。
2. 入る?入らない?—代表ケース早見表
| 部位・状況 | 建築面積に入る? | ポイント |
|---|---|---|
| 屋根のかかった玄関ポーチ(柱あり) | 入る | 壁なしでも屋根+柱で算入 |
| カーポート(屋根+柱) | 入る | 面積全体が算入 |
| ピロティ(1F柱だけで上階が載る) | 入る | 上階の水平投影=算入 |
| 庇の張出しが1m以内 | 入らない | 外壁から1mまで不算入 |
| 庇の張出しが1m超 | 超過分のみ入る | 例:1.3m張出→0.3m分算入 |
| バルコニー(上に屋根なし・独立柱なし) | 原則入らない | ただし屋根+柱があれば入る |
| ルーフバルコニー(上階床の露出) | 入らない | 屋根とみなされなければ不算入 |
| テラス・デッキ(屋根なし) | 入らない | 屋根の水平投影が基準 |
| 外部階段(屋根なし) | 入らない | 屋根付きなら入ることあり |
| 出窓(張出1m以内、下部支えなし) | 入らない | 1m超や柱支持なら超過/全体算入に留意 |
| 庇付き自転車置き場(屋根+柱) | 入る | カーポート同様 |
| 地下室の張出し(地表に屋根なし) | 入らない | 地上の水平投影で判定 |
| 軒の出(軒先) | 1m以内不算入/超は算入 | 庇と同じ考え方 |
| アーケード的張出(公道側) | 入る | 占用・建築協定も要確認 |
迷ったら「屋根があるか」「柱等で支えられているか」「1mルール」の3点で一次判断。
3. 計算の基本手順
- 平面図を“屋根端基準”に置換(庇や軒の出を反映)。
- 各形状を長方形・三角形などに分割して面積を出す。
- 庇の1mルールを適用(1m超の超過部分だけ足し込む)。
- 屋根+柱のエリアは全量加算(ポーチ・カーポート・ピロティ)。
- 端数は自治体運用に合わせて小数第n位処理。
簡単な数値例
- 本体:10.0m × 8.0m=80.00㎡
- 玄関ポーチ(屋根+柱):2.0m × 2.0m=4.00㎡(算入)
- 軒の出:外壁から0.80m → 不算入
- 南庇:外壁から1.30m → 0.30m分だけ周長に沿って加算(例:加算長さ6.0mなら 0.3×6=1.80㎡)
- カーポート:5.0m × 3.0m=15.00㎡(算入)
👉 **合計 建築面積=80+4+1.8+15=**100.8㎡
4. 延べ面積・床面積・敷地面積との違い
| 用語 | 定義 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 建築面積 | 屋根の水平投影面積(庇1mルール・屋根+柱は算入) | 建ぺい率の判定 |
| 延べ面積 | 各階の床面積の合計(容積対象外の除外あり) | 容積率の判定 |
| 床面積 | 外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影 | 用途・採光・避難計算等 |
| 敷地面積 | 登記・測量に基づく敷地の水平投影面積 | 建ぺい率・容積率の分母 |
よくある勘違い:「建築面積=1階床面積」ではありません。屋根の張出やポーチで差が出ます。
5. 建ぺい率との関係(超要点)
- 建ぺい率=建築面積 ÷ 敷地面積 × 100。
- 角地や防火・準防火地域の緩和(+10%等)がある地区も。
- 軒・庇・カーポートの算入有無で建ぺい率は簡単に数%動くため、設計初期から面積管理が鉄則。
6. よくある“落とし穴”と回避策
- カーポートの入れ忘れ
→ 屋根+柱=建築面積に算入。建ぺい率超過に注意。 - 庇1mルールの誤適用
→ “1mまでは全部不算入”ではなく、「1m以内は不算入、1mを超える超過分は算入」。 - バルコニーの誤算入/不算入
→ 屋根・柱の有無で判断。屋根無しなら原則不算入。 - ピロティ=面積ゼロと誤解
→ 上階の水平投影がそっくり入る。 - 自治体ローカル運用の見落とし
→ “透明屋根は屋根か?”など解釈差あり。事前協議メモを残す。
7. 設計・購入時のチェックリスト
- 建築面積算定図(屋根端ライン・1m超部分を明示)を用意
- ポーチ・カーポート・庇の扱いを建築指導課に確認
- 建ぺい率の緩和(角地・防火)適用可否
- 測量図で敷地面積の確定(共有地・私道負担の扱い)
- 将来の増築やカーポート追加で建ぺい率を超えないか試算
8. ミニFAQ
Q. 庭のパーゴラやテント屋根は入る?
A. 雨仕舞いの機能を持つ屋根+柱として扱われると算入される可能性が高いです。材質は不問。自治体確認推奨。
Q. 出窓は?
A. 下部支持のない張出しで1m以内なら原則不算入。1m超や柱支持があれば超過/全体が算入対象に。
Q. 地下の出っ張りは?
A. 地表に屋根が無ければ不算入。水平投影は地上の屋根が基準です。
Q. 外部階段は?
A. 屋根なしは不算入。屋根付きなら算入の可能性。
9. まとめ
- 建築面積は屋根の水平投影+1mルール+屋根+柱=算入で覚えると迷いません。
- 建ぺい率は数㎡の違いで適合/不適合が分かれます。カーポート・ポーチ・庇の扱いを初期から設計に織り込み、最終は所管行政で確認しましょう。

