One Henry Hudsonとは?コンテナ船の航海・歴史・名前の意味と物語
コンテナ船「ONE HENRY HUDSON(ワン・ヘンリー・ハドソン)」は、日本発のコンテナ船社「ONE(Ocean Network Express)」が運航する大型コンテナ船で、全長約336m・コンテナ積載約8,000TEU級の船です。船名は、ニューヨーク周辺を探検した航海者ヘンリー・ハドソンと、同名の橋「ヘンリー・ハドソン・ブリッジ」に由来すると考えられ、2008年建造時の名前は「HENRY HUDSON BRIDGE」でしたが、2020年前後に現在の「ONE HENRY HUDSON」に改名されています。
時点では、2025年11月に米ロサンゼルス港で発生した船内火災のニュースでも注目されましたが、海運会社ONEのピンク色のコンテナ船シリーズの一隻として、アジア〜北米・欧州などの国際航路で運航されてきました。
One Henry Hudsonの基本スペックと航路のイメージ
どんなコンテナ船なのか
ONE HENRY HUDSONは、日本海事協会(ClassNK)の登録や船舶データサイトの情報によると、以下のような仕様を持つ大型コンテナ船です。
| 項目 | 内容(概要) |
|---|---|
| 船名 | ONE HENRY HUDSON(旧名:HENRY HUDSON BRIDGE) |
| 船種 | コンテナ船(Container Carrier) |
| 総トン数 / 載貨重量トン数 | 約98,700総トン / 約98,800DWT |
| コンテナ積載量 | 約8,200〜9,000TEU級 |
| 全長 / 幅 | 全長約336m / 幅約45.8m |
| 建造 | 2008年、日本・呉の造船所で建造 |
| 船籍 | パナマ船籍 |
| 運航会社 | Ocean Network Express(ONE)グループのサービスに投入 |
ONEの船隊は、桜色に近いマゼンタカラーの塗装で知られ、世界各地の港で目を引く存在です。ONE HENRY HUDSONもこのカラーリングが特徴で、主にアジア〜北米・欧州を結ぶ定期航路に配船されているとみられます(具体的な配船ルートは時期により変更の可能性があります)。
この章の要点
- ONE HENRY HUDSONは、全長約336m級の大型コンテナ船で、2008年建造のパナマ船籍。
- もともとの船名は「HENRY HUDSON BRIDGE」で、2020年前後に現在の船名へ改名された履歴がある。
- 日本発のコンテナ船社ONEのマゼンタカラー船隊の一隻として、国際航路で運航されている。
船名「One Henry Hudson」の意味と由来
橋の名から探検家の名へ、二重のオマージュ
この船は建造時、「HENRY HUDSON BRIDGE」という名前で就航しました。これはニューヨークのマンハッタンとブロンクスを結ぶ道路橋「Henry Hudson Bridge」にちなんだもので、コンテナ船が橋の名前を冠するのは、同社の命名ルールのひとつと言われています。
後に「ONE HENRY HUDSON」と改名されてからは、橋の名前の元となった航海者ヘンリー・ハドソン本人へのオマージュも強く意識されるようになりました。ヘンリー・ハドソンは、現在のハドソン川・ハドソン湾・ハドソン海峡などに名を残す探検家であり、「未知の航路を切り開く」象徴的な人物です。
この章の要点
- 元の船名は「HENRY HUDSON BRIDGE」で、ニューヨークの橋の名前を受け継いでいる。
- ONE HENRY HUDSONという現在の名は、橋だけでなく探検家ヘンリー・ハドソン自身にも敬意を表した名前と考えられる。
- 「新しい航路を切り開く」というイメージが、グローバルなコンテナ船事業と重ねられている。
2025年ロサンゼルス港での火災という「最新の歴史」
火災発生から曳航・鎮火までの流れ
2025年11月21日(現地時間)、ロサンゼルス港に停泊中のONE HENRY HUDSONで船内火災が発生し、電気系統トラブルが原因とみられる爆発と、有害物質を含む可能性のあるコンテナの延焼が確認されました。
港湾当局や消防・沿岸警備隊の発表によると、火災は甲板下の複数区画に広がり、一時は周辺地域に屋内退避が呼びかけられる「メジャー・エマージェンシー」となりましたが、全乗組員は避難し、負傷者は報告されていません。火災は22日には「大部分が制圧された」とされ、船は港外の錨地へ曳航されて消火活動が継続されました。
火災原因の詳細は調査中とされており、危険物コンテナの管理・電装系の安全対策など、今後の国際海運における安全議論にも影響を与える可能性があります。
この章の要点
- 2025年11月、ロサンゼルス港停泊中にONE HENRY HUDSONで火災・爆発が発生し、大規模な消火活動が行われた。
- 乗組員に人的被害は報告されておらず、船は港外の錨地へ曳航されて消火が継続されていると発表された。
- 危険物コンテナや電気系統の管理など、今後の安全対策の議論にとって象徴的な事例になり得る。
ヘンリー・ハドソンの航海物語と船名の背景
ハドソン川の探検と、最後の航海
ヘンリー・ハドソン(Henry Hudson, 1560年代〜1611年頃)は、「北西航路」を求めて北極海や北米沿岸を探検したイングランド人航海者です。1609年にはオランダ東インド会社の委託で帆船「ハーフ・ムーン号」を率い、現在ニューヨークを流れるハドソン川を約150マイル遡って探検し、周辺の先住民と交流しながら地理や交易の可能性を記録しました。
その後も北アメリカ北部を探索し、ハドソン湾やハドソン海峡を発見しますが、1611年の航海では乗組員の反乱(ミューティニー)により、息子とともに小船に残され行方不明となったと伝えられています。このドラマティックな生涯は、「危険を冒して未知の航路を切り開く」象徴として語り継がれ、ニューヨーク周辺の地名や橋、そして本船の元名「HENRY HUDSON BRIDGE」にも刻まれています。
この章の要点
- ヘンリー・ハドソンは、ハドソン川・ハドソン湾・ハドソン海峡に名を残す探検家で、1609年の航海で現在のニューヨーク周辺を探検した。
- 最後の航海では北西航路探検中に反乱で船を追われ、以後の消息は不明とされている。
- 彼の名前は川や橋、そしてOne Henry Hudsonの船名にも受け継がれ、「挑戦と探検」の物語と重ねられている。
One Henry Hudsonが語る現代海運の物語
巨大コンテナ船とグローバル物流の象徴
One Henry Hudsonのような大型コンテナ船は、アジア・北米・欧州を結ぶグローバル物流を支える主役であり、スマートフォンや家電、衣料品など、私たちの日常にある製品の多くがこうした船で運ばれています。
一方で、2025年の火災に象徴されるように、危険物コンテナ・リチウムイオン電池・化学物質などを含む貨物を安全に運ぶことは大きな課題であり、港湾の防災・環境対策とも密接に関わります。One Henry Hudsonの歴史は、探検家ヘンリー・ハドソンの物語と同じく、「未知のリスクにどう向き合うか」という現代の問いも投げかけていると言えるでしょう。
この章の要点
- One Henry Hudsonは、グローバルな物流ネットワークの一端を担う大型コンテナ船であり、日常生活のあらゆる商品輸送に関わっている。
- 火災・危険物・環境配慮など、現代の海運が抱える安全課題を象徴する存在でもある。
- 船名の由来であるヘンリー・ハドソンの物語と同じく、「リスクを管理しながら新しい航路を切り開く」ことが今後のテーマとなる。

