高市首相と中国に何があった？台湾有事発言・コメント内容と各方面の反応を整理

本記事の基準日（情報更新日）は2025-11-24です。2025年11月7日の国会答弁で、高市早苗首相がいわゆる「台湾有事」を日本の存立危機事態になり得ると述べ、自衛隊による集団的自衛権行使の可能性に言及しました。これに中国政府が強く反発し、渡航・留学の自粛呼びかけや経済的な圧力を伴う外交問題に発展しています。直近では南アフリカでのG20サミットでも中国の李強首相との直接会話は行われず、緊張が続いている状況です。

発端となった高市首相の「台湾有事」発言とは

問題となっているのは、2025年11月7日の衆議院予算委員会における高市首相の答弁です。高市首相は、中国が武力によって台湾を攻撃するような事態を想定した質問に対し、「台湾有事」が日本の平和安全法制における「存立危機事態」に該当し得るとの認識を示しました。これは、条件次第では日本が集団的自衛権を行使し、自衛隊が武力行使に関与する可能性があることを意味します（あくまで具体的事態ごとの判断が前提と説明）。

この発言は、安倍晋三元首相が掲げた「台湾有事は日本有事」という考え方と重なるものであり、現職首相が明確な形で台湾有事と日本の安全保障を結びつけたのは初めてとされています。

この章の要点

• 2025年11月7日、国会答弁で高市首相が「台湾有事は存立危機事態になり得る」と述べた。
• これは条件次第で自衛隊による集団的自衛権行使の可能性に言及したものと受け止められている。
• 安倍元首相の「台湾有事は日本有事」論を、現職首相が明確に引き継いだ形となった。

中国側の反応と「2025年中日外交風波」

この答弁を受けて、中国政府は強い反発を示しました。中国外務省や王毅外相は、高市首相の発言が「一つの中国」原則や1972年の日中共同声明に反し、内政干渉に当たると主張し、「レッドライン（越えてはならない一線）を超えた」「断固として反撃せざるを得ない」といった表現で批判しています。

中国側の具体的な対応としては、

• 日本への観光旅行を控えるよう、中国国民に対して注意喚起。
• 日本への留学希望者に対し、安全リスクへの警告を発出。
• 日本産水産物の輸入再開に向けた動きを一時中止するなど、経済面での圧力を示唆。
• 一部の外交官による過激なSNS投稿が日中間で新たな火種になったとの報道。

こうした一連の動きは、メディアや専門家の間で「2025年中日外交風波」とも呼ばれ、台湾問題をめぐる日中関係の緊張が一段と高まった事例と位置付けられています。

この章の要点

• 中国政府は高市首相の発言を「一つの中国」原則に反する内政干渉と位置づけて強く抗議している。
• 渡航・留学の自粛呼びかけや日本産品への経済的圧力など、実務的な対応も伴っている。
• この問題は「2025年中日外交風波」として、台湾問題をめぐる日中関係悪化の象徴となりつつある。

G20サミットでの「会話の機会なし」発言とその意味

11月下旬に南アフリカ・ヨハネスブルクで開催されたG20サミットでは、高市首相と中国の李強首相が同じ会場に出席しましたが、直接の会話や首脳会談は行われませんでした。高市首相は23日、「今回のG20サミットでは李強首相と会話する機会はなかった」と記者団に説明しつつ、「日本としては中国との対話にオープンであり、扉を閉ざすつもりはない」と述べています。

一部の解説では、日本側も中国側も感情的な応酬が続く中であえて「冷却期間」を置き、すぐに首脳同士で妥協を演出するよりも、状況を見極める選択をしたのではないかとの見方が示されています。

この章の要点

• G20サミットでも日中首脳の直接のやり取りはなく、冷却期間のような状態が続いている。
• 高市首相は対話の必要性を強調しつつも、具体的な改善策や日程はまだ示されていない（未確定）。
• 日中関係は今後の外交日程や実務協議の行方に左右される可能性が高い。

日本国内・国際社会の反応

日本国内では、与党支持層を中心に「日本の安全保障上当然の発言だ」「台湾海峡の平和を重視する姿勢を明確にした」という支持の声がある一方、野党や一部専門家からは「発言が挑発的で、不要に緊張を高めた」「法的な枠組みと政治メッセージの切り分けが不十分だった」といった懸念も出ています。

国際的には、台湾防衛へのコミットメントを強める日米・日台関係の流れの中で、高市政権の方針がより明確になったとの評価がある一方、中国との対立が長期化した場合の経済的リスクや、地域の緊張激化を懸念する見方も指摘されています。

この章の要点

• 国内では「安全保障上当然」とする意見と、「不用意に緊張を高めた」とする意見が分かれている。
• 国際社会では、日米・日台の安全保障協力の一環と見る評価と、経済・地域安定への影響を懸念する声が並存している。
• 評価はいずれも進行中であり、今後の外交対応によって変化し得る（現時点では未確定）。

今後の見通しと、情報を追う上でのポイント

今回の問題は、台湾問題という極めてセンシティブなテーマと、各国の国内政治・世論が絡み合っているため、短期的に一気に解決するというよりは、時間をかけて調整が進む可能性が高いと見られます。日本政府としては「主張すべきことは主張しつつ、対話の窓は開いておく」というスタンスを維持し、中国側も国内向けの強硬姿勢と実務的な協議のバランスを取ろうとする可能性があります。

今後の動向をフォローする際は、

• 日本政府（首相官邸・外務省・防衛省）の公式発表。
• 中国政府の声明や、渡航・留学などに関する最新の注意喚起。
• 第三国（米国・EUなど）のコメントやG7・国際会議での合意内容。

といった複数の情報源を組み合わせて確認することが大切です。SNS上には誇張された情報や真偽不明の噂も出やすいため、一次情報や信頼性の高い報道と照らし合わせることをおすすめします。

この章の要点

• 問題は進行中であり、短期決着というより中長期的な調整局面が続く可能性が高い。
• 日本・中国双方の公式発表や国際会議の合意内容など、一次情報を軸に状況を把握することが重要。
• SNS上の情報は感情的な反応が多いため、冷静な情報リテラシーが求められる。