フラット35 金利 今後の見通しと上昇リスクの考え方
フラット35を選ぶかどうかを判断するうえで、「今後の金利がどう動きそうか」「上昇リスクをどこまで意識すべきか」は気になるポイントです。2025-12-05 時点では、フラット35の代表的な金利は1.97％と2％目前の水準にあり、長期金利や日銀の政策動向次第では、今後さらに動く可能性があります。ここでは、公表されている情報や各種見通しをもとに、リスクの整理と付き合い方を解説します。
現在の状況整理：すでに「低金利の底」からは離れている
1.3％前後の時代から、2％目前まで上昇
まずは現状を簡単に整理します。代表的な条件のフラット35金利は、2020〜2021年には1.3％前後の水準でしたが、2022年以降は長期金利の上昇や金融政策の変化を背景に上がり続け、2025年12月時点では1.97％に達しています。すでに「超低金利の底」からは一定の距離がある状態と言えます。
| 年 | 年末の代表金利 | 特徴 |
|---|---|---|
| 2020年 | 約1.31％ | 歴史的な低金利水準 |
| 2022年 | 1.65％ | 上昇トレンド入りの年 |
| 2024年 | 1.86％ | 高止まり気味に推移 |
| 2025年 | 1.97％（12月時点） | 2％目前の水準に接近 |
- 要点: ここ数年で見ると、フラット35は明らかな上昇局面にある
- 要点: ただし、過去の高金利時代（3〜4％台）と比べると、まだ中庸な水準
- 要点: 「これ以上必ず上がる」「必ず下がる」と断定することはできない
今後の金利見通しに影響する主な要因
長期金利・日銀政策・海外金利の3本柱
フラット35は、主に「長期金利（10年国債利回り）」や「住宅金融支援機構の機構債の利回り」に連動して決まります。その長期金利の動きには、日銀の金融政策・日本のインフレ率・海外の金利動向などが影響します。
| 要因 | 内容 | フラット35への影響イメージ |
|---|---|---|
| 日本の長期金利 | 10年国債の利回り。将来の物価や金利の期待を反映 | 長期金利が上がると、フラット35金利も上昇しやすい |
| 日銀の政策 | 政策金利や長期金利のコントロール方針 | 追加利上げや金融緩和の縮小で、長期金利が上がりやすくなる可能性 |
| 海外の金利・景気 | 米国などの政策金利・景気・インフレ率 | グローバルに長期金利が高止まりすると、日本の金利にも上昇圧力がかかりやすい |
| 国内のインフレ・賃金 | 物価上昇率・賃上げの広がり | 物価や賃金が持続的に上がると、金利も徐々に高い水準で安定しやすい |
- 要点: フラット35は「長期金利の動き」に強く影響される
- 要点: 日銀の姿勢と海外金利の動向が、今後の方向性を左右する
- 要点: どの要因も不確実性が高く、見通しには幅がある
想定しやすい3つのシナリオ
横ばい・緩やかな上昇・一時的な急騰
将来の金利を正確に当てることはできませんが、「どのようなパターンがあり得るか」をシナリオとして整理しておくと、マイホーム計画を立てやすくなります。ここでは一般的によく語られる3つのイメージを紹介します（いずれもあくまで可能性の一例であり、確定的な予想ではありません）。
| シナリオ | イメージ | フラット35への影響 |
|---|---|---|
| ①横ばい〜小幅な上下 | 長期金利が今の近辺で上下を繰り返す | フラット35も現在の1.9〜2.1％前後で推移する可能性 |
| ②緩やかな上昇 | 景気回復やインフレ定着で、長期金利が徐々に上昇 | 数年かけて2％台前半〜中盤へじわじわ上がるイメージ |
| ③一時的な急騰 | 市場の混乱や政策変更で、短期間に長期金利が跳ねる | 一時的に大きく上がるが、その後落ち着く可能性もある |
- 要点: 「どれか1つに決め打ちする」のではなく、複数シナリオを頭に入れておく
- 要点: 住宅ローンは長期の契約なので、一時的な動きよりも中長期のトレンドが重要
- 要点: フラット35は「将来の上昇リスクを固定金利で買う」イメージで考えるとわかりやすい
上昇リスクにどう備えるか
返済計画と商品選びの両面からコントロールする
フラット35を選ぶ最大の理由は、「金利上昇リスクをなくして、返済額を固定したい」という安心感にあります。一方で、現在の水準が過去より高めである以上、「今固定するか」「変動や他のローンと組み合わせるか」は、人によって答えが分かれます。上昇リスクに備える考え方の例をいくつか挙げておきます。
| 対策・考え方 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 返済比率を抑える | 年収に対する返済額の割合を低めにしておく | 万が一の支出増や収入減にも耐えやすくなる |
| 頭金を多めにする | 借入額を減らして、金利上昇の影響を軽くする | フラット35でも融資率9割以下に抑えると金利が有利になりやすい |
| フラット35＋変動のミックス | 一部を変動、一部をフラット35にするなど | 上昇リスクと低金利メリットを分散して持つイメージ |
| 繰上返済の余力を確保 | 将来金利が上がりそうなときに元本を減らせるよう資金を残す | 金利上昇局面で効果を発揮しやすい |
- 要点: 上昇リスクは「商品選び」だけでなく「返済計画の余裕」でコントロールできる
- 要点: フラット35にするかどうかは、家計の安定性や将来のライフプランともセットで判断する
- 要点: 繰上返済の余力を残したプランは、金利がどう動いても対応しやすい
金利見通し情報との付き合い方
「予想を当てにしすぎない」ことも重要なリスク管理
住宅ローン情報サイトやシンクタンク、住宅金融支援機構のレポートなどでは、長期金利や住宅ローン金利の見通しが定期的に紹介されています。これらは参考になる一方で、実際の金利は予想どおりに動かないことも多く、「見通し通りならラッキー、外れても耐えられる計画」を前提にしておくことが大切です。
- 要点: 見通しや予測はあくまで「判断材料のひとつ」であり、正解ではない
- 要点: 将来の金利が予想より上がっても家計が破綻しない計画かどうかを重視する
- 要点: 定期的に最新情報をチェックしつつ、プランを微調整していく姿勢が重要
まとめ：フラット35の「今後」とどう向き合うか
完璧に読もうとせず、「もし〜なら」も含めて準備する
フラット35の金利は、すでに超低金利期と比べると高い水準にあり、今後も長期金利や政策の動きによって変化する可能性があります。ただし、住宅ローンは20〜30年以上付き合う長期の契約です。短期的な金利予想を当てることにこだわるよりも、「将来の変化があっても対応できる返済計画」と「自分に合った金利タイプ」の組み合わせを考えることが、結果的には大きな安心につながります。
- 要点: 2025年12月時点のフラット35金利は1.97％と2％目前の水準
- 要点: 今後の動きには上昇・横ばい・一時的な急騰など複数のシナリオがあり得る
- 要点: 「金利を当てる」ことよりも、「どんな金利でも耐えられる計画」を重視するのがおすすめ
