◆ はじめに:カーポートにも「建築確認申請」が必要な場合がある
自宅に車を停めるスペースとして人気のカーポート。
ホームセンターやエクステリア業者などで簡単に設置できる印象がありますが、
実は、カーポートも法律上は「建築物」に分類されることがあります。
そのため、一定の条件を満たす場合には、**建築確認申請(建築基準法第6条)**が必要になります。
この記事では、カーポートに建築確認が必要なケースと不要なケースの違い、注意すべき法的ポイントをわかりやすく解説します。
◆ そもそもカーポートとは?
カーポートとは、屋根と柱で構成された「簡易的な車庫」のことです。
一般的には、住宅の敷地内に設置され、車を雨や日差しから守る目的で使用されます。
建築基準法では、カーポートは次のように扱われます👇
柱・屋根を有し、固定されている構造物は「建築物」とみなされる(建築基準法第2条)
つまり、「基礎に固定されているカーポート」は原則として建築物扱いになります。
◆ 建築確認申請が必要なカーポートとは?
建築確認申請が必要になるかどうかは、設置場所の区域・面積・構造によって判断されます。
🔹 建築確認が必要なケース(建築基準法第6条)
次の条件のいずれかに該当する場合、建築確認申請が必要になります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ① 都市計画区域・準都市計画区域内に建築する場合 | 原則として、すべての建築物に建築確認が必要 |
| ② 延べ床面積が10㎡を超える場合 | 防火地域・準防火地域では10㎡以下でも必要 |
| ③ 固定式で地面に基礎がある構造 | アルミや鉄骨などで地面にしっかり固定されている場合 |
| ④ 家屋に連結しているタイプ | 建物の一部とみなされるため、建築確認の対象になる |
たとえば、住宅の玄関に屋根付きのカーポートを連結した場合や、
柱基礎をコンクリートで固定した大型カーポートは、建築確認の対象です。
◆ 建築確認申請が不要なカーポートとは?
以下のような小規模・仮設的なカーポートは、建築確認が不要になる場合があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ① 延べ床面積が10㎡以下(防火地域を除く) | 軽微な構造のものは建築確認不要 |
| ② 仮設的な構造で簡単に撤去可能 | 基礎固定がなく、ボルトやアンカーで簡単に取り外せるもの |
| ③ 都市計画区域外に設置する場合 | 建築基準法の適用外(ただし安全性には注意) |
たとえば、地面に固定していない簡易型アルミカーポートや、
車1台分の軽量タイプ(面積8㎡程度)であれば、多くの自治体で建築確認不要とされています。
◆ 建築確認の要否を判断する3つのポイント
- 地域(用途地域)を確認する
→ 自分の土地が「都市計画区域内」か「調整区域」かを確認。
→ 区域内なら原則建築確認が必要。 - カーポートの面積を確認する
→ 「屋根の水平投影面積(㎡)」が基準。
→ 10㎡を超えると申請が必要(特に防火地域は注意)。 - 固定式かどうかを確認する
→ 柱をコンクリートで固定している場合は「建築物」。
→ ボルト式・取り外し式なら「工作物」として扱われることも。
◆ 防火地域・準防火地域では要注意!
防火地域・準防火地域では、10㎡以下のカーポートでも建築確認が必要になる場合があります。
これは、火災の延焼を防ぐために、すべての建築物を法的に確認する義務があるためです。
さらに、防火構造(不燃材屋根・鉄骨柱など)でなければ許可が下りない場合もあります。
都市部(東京都心部・横浜市など)では特に注意が必要です。
◆ 建築確認申請の流れ(カーポートの場合)
- 設置場所・仕様の確認
→ 敷地の用途地域・防火地域を役所で確認 - 図面・仕様書の作成
→ 販売メーカーや業者が提出用図面を用意 - 建築確認申請書の提出
→ 自治体の建築指導課または民間の指定確認検査機関へ提出 - 審査・確認済証の交付
→ 問題なければ「確認済証」が交付され、工事着手可能 - 設置・完了検査(必要に応じて)
建築士に依頼する場合、申請費用は3万〜10万円程度が一般的です。
規模が大きいカーポートの場合は、設計図面作成費用も別途かかります。
◆ 建築確認を怠るとどうなる?
もし建築確認が必要なカーポートを無許可で設置した場合、
以下のようなトラブルに発展する可能性があります。
- 違法建築物として是正・撤去命令の対象になる
- 住宅ローンや火災保険の査定に影響する
- 将来、家を売却する際に「未確認建築物」として評価が下がる
特に、住宅の一部と見なされるカーポートの場合は、
確認申請を怠ると建物全体の「検査済証」が交付されないこともあります。
◆ 建築確認申請をスムーズに進めるコツ
- 設置前に役所(建築指導課)へ必ず相談
→ 地域によって運用が異なるため、事前確認が必須。 - 販売・施工業者の「確認実績」をチェック
→ カーポート設置の経験が豊富な業者を選ぶと安心。 - 建築士に依頼して手続きを代行してもらう
→ 個人申請よりも審査がスムーズに進みます。
◆ まとめ:カーポートも「建築物」になることを忘れずに
- カーポート=屋根と柱を持つ建築物とみなされる場合がある
- 都市計画区域内・10㎡超・固定式の場合は建築確認申請が必要
- 防火地域では10㎡以下でも申請が必要なケースあり
- 無許可設置は違法建築扱いになるリスクも
- 設置前に必ず自治体へ確認し、必要に応じて建築士・施工業者へ相談

