◆ PSとは何の略?
建築図面に出てくる「PS」とは、
「Pipe Space(パイプスペース)」 の略です。
つまり、**給水管・排水管・ガス管・電気配線などの配管・配線を通すための縦スペース(シャフト)**を意味します。
建物の設計では、構造体や居室と同じくらい、この設備配管スペースの確保が重要です。
◆ PSの役割
PS(パイプスペース)の主な役割は以下の通りです。
- 給排水・ガスなどの配管をまとめて通す経路
→ 各階のキッチンやトイレ、浴室の配管を上下に貫通させます。 - 設備点検やメンテナンスのための空間
→ 後から配管を交換・修理する際、PSを通じて作業が可能になります。 - 設備音・振動の遮音対策
→ 管がむき出しだと音や振動が響くため、PS内に収めて遮音・防振します。
◆ 図面でのPSの位置と表記
- 平面図では、通常「PS」と文字で表記されています。
- 主に、トイレ・洗面所・キッチン・浴室などの水回り付近に配置されます。
- 集合住宅(マンションなど)では、上下階で同じ位置にPSを配置するのが基本です。
これにより、給排水管を縦方向に一直線で設置でき、配管効率と施工性が向上します。
◆ PSの種類
建築設計では、用途に応じていくつかのPSが存在します。
| 種類 | 意味・用途 |
|---|---|
| WPS(Water Pipe Space) | 給排水用のPS。住宅の水回りで最も一般的。 |
| EPS(Electric Pipe Space) | 電気設備・通信ケーブルなどを通すスペース。 |
| GPS(Gas Pipe Space) | ガス管専用のスペース。主に集合住宅で使用。 |
| DPS(Drainage Pipe Space) | 排水系統専用のシャフト。高層建物で採用されることも。 |
つまり、「PS」とひとことで言っても、用途によって複数種類があることを覚えておくと便利です。
◆ PS設計時の注意点
- 点検・メンテナンス性を確保する
→ 壁の裏に完全に隠さず、点検口やハッチを設けるのが基本。 - 遮音・防水対策を忘れない
→ 特にトイレや浴室のPSでは、配管音の対策が重要。遮音シートや吸音材を施工します。 - 臭気・漏水対策
→ 排水管の破損や水漏れが起きても、他の部屋に影響が出にくい構造にする。
◆ PSとDSの違い
建築図面には「PS」のほかに「DS(ダクトスペース)」という表記もよく見られます。
| 用語 | 意味 | 主な用途 |
|---|---|---|
| PS(Pipe Space) | 配管スペース | 給排水・ガス・電気など |
| DS(Duct Space) | ダクトスペース | 空調・換気・排煙ダクトなど |
PSは「水・ガス・電気の管」、DSは「空気の通り道」という違いがあります。
どちらも建物の“縦の設備ライン”を構成する重要な部分です。
◆ まとめ:PSは建物の「設備の心臓部」
- PS=Pipe Space(パイプスペース)
- 建物内の給排水・ガス・電気などの配管スペースを指す
- 水回り付近に配置され、上下階で貫通する
- EPS・WPSなど、用途別のPSも存在
- 設計時には、遮音性・点検性・防水性を確保することが重要

