子どものノロウイルスで下痢だけのときどうする?受診目安と自宅ケア
現在、ノロウイルスは急な嘔吐や下痢で知られるウイルス性胃腸炎ですが、子どもの中には「下痢だけ」が目立つパターンもあります。嘔吐がないと「ノロじゃないかも?」「様子見でいいかな?」と迷いやすい一方で、放っておくと脱水が進んだり、別の病気を見逃してしまうことも。ここでは子どもの下痢だけのケースで考えたいポイントとケア・受診の目安をまとめます。
下痢だけでもノロウイルスの可能性はある?
医学的には、ノロウイルスは急な嘔吐と/または下痢を起こすウイルスとされており、嘔吐が主な子どももいれば、下痢だけが目立つ子どももいます。
- 家族や園・学校でノロが流行している。
- 急に水っぽい便が出て、腹痛や気持ち悪さを訴える。
- 発症から1〜3日で少しずつ落ち着いてくる。
こうした場合は、嘔吐がなくてもノロなどウイルス性胃腸炎の可能性が高くなります。一方で、血便・高熱・長引く症状があるときは、細菌性腸炎など別の原因も考える必要があります。
この章の要点
- ノロは「嘔吐+下痢」が典型だが、下痢だけのケースもあり得る。
- 周囲の流行や発症のタイミングを合わせて考えると判断しやすい。
- 血便・高熱・長期化がある場合は、ノロ以外の病気も疑う必要がある。
子どもの「下痢だけ」のときに観察したいポイント
下痢だけのときは、症状の回数・性状・全身状態を観察することが重要です。
| 観察項目 | 自宅で様子を見られる目安 | すぐ相談・受診を考えたいサイン |
|---|---|---|
| 下痢の回数 | 1日あたり数回程度で、徐々に回数が減ってきている。 | 1日10回前後以上が続く/夜間も止まらない/3日以上ほぼ改善しない。 |
| 便の状態 | 水っぽいが、血や黒い色は混じっていない。 | 血が混じる・真っ黒な便・白っぽい便など、いつもと明らかに違う色。 |
| 発熱 | 微熱〜37℃台後半で、元気もある程度保たれている。 | 高い熱が続く(例えば38.5℃以上)・ぐったりしている。 |
| 水分・尿 | 少しずつでも水分をとれており、尿も出ている。 | ほとんど飲めない・飲んでもすぐ吐く・半日以上おしっこがほとんど出ていない。 |
この章の要点
- 「回数が増えていないか」「便の色がいつもと違わないか」を重点的に見る。
- 水分がとれて尿が出ているかどうかは、脱水の重要な目安。
- 不安なサインがあれば、早めに小児科へ電話で相談すると安心。
自宅でできるケア:水分・食事・おしりのケア
下痢だけのケースでも、水分補給が最優先です。ガイドラインでは、軽〜中等度の脱水には経口補水液を少量ずつこまめに飲ませる方法が推奨されています。
| ケアのポイント | 具体的なやり方の例 |
|---|---|
| 水分補給 | 経口補水液や水・麦茶を、スプーン1杯〜少量ずつ頻回に飲ませる。ジュース・炭酸飲料は下痢を悪化させることがあるため控えめに。 |
| 食事 | 食欲があれば、おかゆ・うどん・バナナ・すりおろしりんごなど、消化にやさしいものを少量から再開。無理に食べさせる必要はない。 |
| おしりのケア | 頻回の下痢でかぶれやすいので、ぬるま湯で優しく洗う・やわらかいタオルで押さえるように拭く・保湿クリームやおむつかぶれ用クリームを検討する。 |
| 衛生管理 | トイレの後は石けんでの手洗いを徹底し、便が付着した衣類はしっかり洗濯する。 |
市販の下痢止めは、ウイルス性胃腸炎では使用が推奨されない場合もあるため、自己判断で使わず、必要があれば医師や薬剤師に相談しましょう。
この章の要点
- 下痢だけでも、水分と電解質を少しずつ補うことが最重要。
- 食事は子どもの様子を見ながら、無理せず少量から再開すればOK。
- おしりのかぶれ対策とトイレまわりの衛生管理も忘れずに。
受診を急ぐべきサイン
以下のようなサインがある場合は、下痢が1日目でも受診・救急相談を検討したほうがよいとされています。
- 水分がほとんど飲めない、または飲むたびに吐いてしまう。
- おしっこが半日以上ほとんど出ていない、尿が極端に少ない/濃い。
- 血便・真っ黒な便が出る。
- 体をかがめるほどの強い腹痛がある、または右下腹部だけが強く痛い。
- 高い熱が続く、またはぐったりして反応が弱い。
- 乳児・持病のある子・長引く下痢(数日以上)の場合。
判断に迷う場合は、かかりつけ小児科や自治体の救急相談窓口に電話し、「いつから下痢があるか」「何回くらいか」「水分や尿の状況」などを伝えてアドバイスを受けましょう。
この章の要点
- 脱水サイン・血便・激しい腹痛・高熱は、早めの受診が必要な赤信号。
- 「とりあえず様子を見る」のではなく、気になる点があれば電話相談を活用する。
- 医師の指示を受けたあとは、その指示内容をメモして家族で共有しておくと安心。
下痢が落ち着いた後の登園・登校の目安
ノロウイルスは少量のウイルスでも感染が成立するほど感染力が強く、症状が治まってからも数日間は便中にウイルスが出ることがあります。
| タイミング | 目安 |
|---|---|
| 下痢・嘔吐がある間 | 登園・登校は控える。家庭内でもタオルや食器の共用を避ける。 |
| 症状が治まった直後 | 多くの公的機関や施設では、症状消失後少なくとも24〜48時間は自宅で様子を見るよう推奨している。 |
| 復帰後 | 念のためしばらくは、トイレ後の手洗い・タオル別使用を続ける。 |
この章の要点
- 下痢が止まった直後に、すぐ園や学校へ戻すのは避ける。
- 症状が治まってから1〜2日は、自宅での安静と様子見が安全。
- 復帰のタイミングは、園・学校や自治体のルールも必ず確認する。

