ノロウイルス時の水分補給のやり方|効果的に飲むコツとNGポイント
現在、ノロウイルスなどの胃腸炎で最も怖いのは脱水です。何を食べるか以上に、どう水分をとるかが回復を左右します。「たくさん飲めばいい」と思いがちですが、飲み方を間違えると、かえって吐き気や下痢が悪化することも。ここではノロのときの水分補給のコツとNG例を分かりやすくまとめます。
ノロで水分補給が大事な理由
ノロウイルスでは、嘔吐や下痢で体の水分と電解質(ナトリウム・カリウムなど)が失われます。特に、
- 吐き気が強くて水が飲めない。
- 水を飲んでもすぐに吐いてしまう。
- 下痢が続いてトイレに何度も行く。
といった状態が続くと、短時間で脱水が進み、頭痛・だるさ・めまい・尿が出ないなどの症状が出てきます。こうなる前に、少しずつでも水分と電解質を補うことが重要です。
この章の要点
- ノロで一番怖いのは脱水であり、「どれだけ飲めたか」が重要。
- 吐き気や下痢で、思った以上に体の水分が失われやすい。
- 症状が軽くても、意識してこまめな水分補給を行うことが大切。
ノロのときにおすすめの飲み物・避けたい飲み物
どんな飲み物を選ぶかで、胃腸への負担が大きく変わります。
| おすすめの飲み物 | ポイント | 避けたい飲み物 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 経口補水液 | 水分と電解質のバランスが良く、脱水対策に最適。 | アルコール飲料 | 脱水を悪化させ、胃腸を刺激する。 |
| スポーツドリンク(少し薄めて) | 飲みやすく、電解質も含まれるが糖分が多いので薄めて飲む。 | 炭酸飲料 | 胃を膨らませ、吐き気を悪化させることがある。 |
| 麦茶・ほうじ茶 | カフェインが少なく、さっぱり飲みやすい。 | カフェインの多いコーヒーやエナジードリンク | 利尿作用があり、かえって脱水を進める可能性。 |
| 白湯・薄めのスープ | 体を冷やさず、塩分を少し補える。 | 果汁100%ジュース・甘い清涼飲料 | 糖分が多く、下痢を悪化させることがある。 |
この章の要点
- 基本は経口補水液>薄めたスポーツドリンク>麦茶・白湯の順で考える。
- アルコール・炭酸・カフェイン多め・甘すぎる飲み物は一時的にNG。
- 冷えすぎた飲み物は常温に近づけてから飲むと、胃にやさしい。
効果的な水分補給のやり方|量とタイミング
ノロのときは、「少量をこまめに」が鉄則です。一度にたくさん飲むと胃が急に膨らみ、吐き気を誘発することがあります。
| 状態 | 飲み方の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 吐き気が強いとき | スプーン1杯〜数口程度を、10〜15分おきに。 | 無理にゴクゴク飲まない。少しずつ胃に慣らすイメージ。 |
| 吐き気が落ち着いてきたとき | 1回あたり少量(数十mL)を、こまめに繰り返す。 | 一度に飲む量はコップ半分以下からスタート。 |
| 下痢が続いているとき | 下痢のたびに、コップ半分〜1杯程度を追加で飲む。 | 失った分を少しずつ補うイメージで、合計量を意識する。 |
1日の総量は体格や症状によって変わりますが、「尿がある程度出ているか」「口がカラカラになっていないか」が大まかな目安になります。
この章の要点
- 吐き気があるときほど、一口ずつ・回数多めが基本。
- 下痢や嘔吐のあとに、少しずつ追加で水分をとることを意識する。
- 「どのくらい飲んだか」をざっくりメモしておくと受診時にも役立つ。
年齢・体調別 水分補給の注意点(大人・子ども・高齢者)
「どのくらい飲めばいいか」は年齢や体調によっても変わります。
| 対象 | 注意点 |
|---|---|
| 大人 | 自分でコントロールしやすいが、仕事中などに水分を控えてしまうことがある。意識してこまめに飲む習慣をつける。 |
| 子ども | 嫌がって飲まないことも多く、脱水が進みやすい。少量ずつ、ストローやスプーンなど工夫して飲ませる。元気がなく、尿が少ないときは早めに受診を検討。 |
| 高齢者 | 喉の渇きを自覚しにくく、少しの下痢でも脱水になりやすい。家族が飲んだ量や尿の回数をチェックしてあげると安心。 |
この章の要点
- 大人は「忙しさ」や「面倒さ」で飲むのを忘れがち。
- 子ども・高齢者は、少しの不調でも脱水が進みやすいので特に注意。
- 不安な場合は、水分量や尿の回数をメモして医師に見せると判断の助けになる。
水分補給でやりがちなNG行動
良かれと思ってやりがちな行動が、実は逆効果になることもあります。
| NG行動 | なぜ良くないか | 代わりにどうするか |
|---|---|---|
| のどが渇いたからと一気飲み | 胃が急に膨らみ、吐き気や嘔吐を誘発しやすい。 | 一度に飲む量を減らし、回数を増やす。 |
| 冷蔵庫から出したばかりの冷たい飲み物を大量に飲む | 胃腸を冷やし、痛みや下痢が悪化することがある。 | 常温近くまで戻してから、少しずつ飲む。 |
| ジュースや甘い清涼飲料ばかり飲む | 糖分が多く、かえって下痢を悪化させることがある。 | 経口補水液や薄めたスポーツドリンク、麦茶などを中心にする。 |
| アルコールで「消毒になる」と考えて飲む | 脱水・胃腸障害を悪化させるだけで、感染対策にはならない。 | 完全に回復するまでアルコールは控える。 |
この章の要点
- 「たくさん一気に」ではなく「少量をこまめに」が最重要。
- 冷たすぎる・甘すぎる・アルコール入りの飲み物は逆効果になり得る。
- のどの渇きに任せて飲むのではなく、飲み方の工夫が必要。
こんなときは水分補給だけにこだわらず、早めに受診を
次のような場合は、「どれだけ水分を飲むか」よりも医療機関での評価が優先されます。
- 水分をほとんど飲めない・飲んでもすぐ吐いてしまう。
- 尿が半日以上ほとんど出ていない、または極端に少ない。
- 口や舌がカラカラで、皮膚が乾いている感じがする。
- 強いめまい・立ちくらみ・ぐったり感・意識がぼんやりする。
- 乳幼児・高齢者・妊婦・重い持病がある人の症状で、少しでも心配なとき。
この章の要点
- 脱水が進んでいるサインがあれば、自宅だけで頑張りすぎないことが大切。
- 「水分をとれば何とかなる」と思い込みすぎず、必要なら点滴なども検討される。
- 迷うときは、かかりつけ医や自治体の電話相談窓口に連絡し、指示をあおぐ。

