サブクレードK感染例はいつから増加?2025年 世界・日本のタイムライン解説
時点で、インフルエンザA(H3N2)「サブクレードK」は、2025/26シーズン序盤の流行を世界各地で押し上げていると評価されています。本記事では、「いつ頃から感染例が増え始めたのか」を、世界と日本それぞれのタイムラインで整理します(数字は公開データに基づくおおまかな目安であり、シーズン終了後に評価が修正される可能性があります)。
サブクレードK増加時期をざっくり一言で
現時点の公表情報をまとめると、サブクレードKの感染例増加はおおよそ次のように整理できます。
- 世界全体:2025年春〜初夏にかけて遺伝子配列データ上で増え始め、5〜11月のA(H3N2)配列の約3分の1を占めるまで拡大。
- 欧州・英国:英国では2025年8月(週35)以降、検出されるH3N2の大半がサブクレードKとなり、10月から臨床症例の増加が目立つようになったと報告。
- 日本:2025年9月以降、H3インフルエンザ患者の検体からサブクレードKが多数検出され、10月に全国的なインフルエンザ流行宣言、11月には警報レベルを大きく超える患者数に。
以下で、もう少し細かく「いつ・どこで・どのくらい増えたのか」を見ていきます。
世界でサブクレードK感染例が増え始めたタイミング
ECDC(欧州疾病予防管理センター)のリスク評価によると、A(H3N2)サブクレードKは「新たに出現したサブクレード」として、2025年5〜11月にGISAIDへ登録されたA(H3N2)配列の約3分の1を占めるまで増加し、全大陸で検出されています。
英国の詳細解析では、2025年週35(8月末)以降、解析されたA(H3N2)のうち87%がサブクレードKで占められていたと報告されており、欧州では「夏の終わり〜秋」にかけて急速に置き換わったことが分かります。
| 時期(2025年) | 地域・データ | サブクレードKの動き |
|---|---|---|
| 5〜7月ごろ | 世界(GISAID配列データ) | A(H3N2)の中でサブクレードKが検出される頻度が上昇し始め、5〜11月の累積では全A(H3N2)配列の約3分の1を占める。 |
| 8月末〜9月(週35以降) | 英国・欧州 | 英国では週35以降に検出されたA(H3N2)のうち約87%がサブクレードKとなり、「H3N2の中の主流株」に。欧州全体でも同様の傾向が報告される。 |
| 10月 | 英国など北半球 | Time誌などによると、英国では10月頃からインフルエンザ患者の増加が目立ち、早いシーズン入りの一因がサブクレードKとみなされている。 |
| 11月 | EU/EEA、カナダ等 | ECDCは11月20日のリスク評価で、「サブクレードKはA(H3N2)配列の約半数を占める国もあり、EU/EEAでインフル増加が平年より早い」と報告。カナダや米国でもサブクレードKが流行を牽引し始めたとされる。 |
この章の要点
- 遺伝子配列のレベルでは、2025年春〜初夏からサブクレードKが増え始め、5〜11月のA(H3N2)の約3分の1に。
- 英国など欧州では、8月末(週35)以降にH3N2の大部分がサブクレードKとなり、10月から臨床症例の増加が目立ち始めた。
- 11月時点で、EU/EEAだけでなく北米・アジアでも「今シーズンの早いインフル増加の一因」として位置づけられている。
日本ではサブクレードKの感染例はいつから増えた?
日本については、「インフル全体の増加」と「その中でサブクレードKがどれくらい占めているか」という二段階で見る必要があります。
- まず、厚労省の監視では、2025年10月3日に全国的なインフルエンザ流行入り(流行レベル超え)が宣言され、平年より約5週間早いと報道されました。
- さらに、政府系機関である日本医療安全保障研究所(Japan Institute for Health Security)の解析では、9月以降にH3患者から採取した検体23件のうち22件がサブクレードKであったと報告されています。
つまり、日本では9月の時点でH3の多くがサブクレードKに置き換わっており、その後10〜11月にかけて患者数が急増したという流れになります。
| 時期 | 国内の動き | サブクレードKとの関係 |
|---|---|---|
| 9月〜 | H3インフルエンザ患者の検体解析で、23検体中22検体からサブクレードKを検出。 | この時点で、日本国内のH3N2の多くがサブクレードKであることが判明。 |
| 9月下旬〜10月初旬 | 1医療機関あたりのインフル患者数が流行基準を超え、10月3日に全国的な流行宣言。 | サブクレードKの増加とワクチン接種期が重なり、「今季は立ち上がりが早い要因の一つ」と分析されている。 |
| 11月 | 11月23日までの週に、定点医療機関あたり患者数が51.12人と、警報レベル(30人)を大きく上回る水準に。 | 実際の患者数ベースでも、サブクレードKを含むインフル流行がピーククラスに達していると考えられる。 |
この章の要点
- 日本では9月の時点でH3患者の大半がサブクレードKと確認されている。
- インフル全体としては、10月3日に全国流行入りとされ、平年よりかなり早い立ち上がり。
- 11月には定点あたり患者数が50人超となり、サブクレードKが早く・大きく広がったシーズンになっている。
なぜ2025年の秋からサブクレードKが目立って増えたのか
「いつから増えたか」と合わせて、「なぜその時期から増えたのか」も各機関が分析しています。現時点で指摘されている要因は次の通りです。
- ワクチン選定後に出てきた新しい枝:サブクレードKは、2025/26シーズンの北半球ワクチン株が決まった後に台頭してきたH3N2の新しい枝で、ワクチン株とは抗原性がずれていると報告されています。
- 複数の変異による「免疫すり抜け」:GVNなどの専門家は、サブクレードKがHAたんぱくに複数の変異を持ち、過去の感染やワクチンで得た免疫から部分的に逃げやすくなっている可能性を指摘しています。
- 人々のインフル免疫の「薄まり」:ここ数年は地域によってインフル流行が弱かったシーズンもあり、特に子どもではH3N2への自然曝露が少なかったことが、早期かつ大きな流行につながる一因とECDCは分析しています。
この章の要点
- サブクレードKは、ワクチン株の選定後に頭角を現したH3N2の新しい枝で、ワクチンとのミスマッチが指摘されている。
- 複数の変異により、従来のH3N2よりも「免疫すり抜け」が起こりやすい可能性がある。
- 数年分の「インフルをあまり経験していない世代」がいることも、早い時期からの感染例増加に影響していると考えられている。
今後の増加傾向と、情報の追いかけ方
ECDCは、「サブクレードKによる2025/26シーズンの重症度は季節性インフルの範囲内とみられるが、早い立ち上がり+H3N2優位のため、入院数や医療負荷が増える可能性がある」と評価しています。
日本についても、12月初旬時点で「9月から感染例が増え、11月に警報レベルを大きく超える」との報道が出ており、今後もしばらくは高水準の流行が続く可能性があります(ただし地域差あり)。
流行の「これから」を把握するには、次のような情報源をチェックしておくとよいでしょう。
- 厚生労働省・自治体のインフルエンザ週報(1医療機関あたり報告数や警報レベル)
- 国立感染症研究所などによるウイルス解析の情報(H3N2やサブクレードKの割合)
- ECDC・WHOなど国際機関のリスク評価(世界全体の位置づけ)
なお、本記事は公的機関の公開情報を基にした一般的な解説であり、医師による診断や個別の助言には代わりません。具体的な体調やリスクについては、必ず医療機関や公的な相談窓口に確認してください。
この章の要点
- サブクレードKは「早い立ち上がりのインフルシーズン」を世界各地で引き起こしており、今後も各国で注意深い監視が続く見込み。
- 日本ではすでに9月から増加が始まり、11月時点で警報レベルを大きく超えている地域もある。
- 全国平均だけでなく、自分の住む地域の週報・学校や職場からの情報も合わせて見ることが重要。

