インフルエンザワクチンにサブクレードKは追加される？今後の株選定と見通し
現在、世界各地で急増しているインフルエンザA型H3N2「サブクレードK」。「来シーズン以降のワクチンにサブクレードKは追加されるのか？」という疑問を持つ方も多いはずです。ここでは、WHOのワクチン株選定の仕組みと、2026年以降のワクチンにサブクレードK系統が組み込まれる可能性について、現時点の情報を整理します。
2025-26北半球・2026南半球ワクチン株とサブクレードKの位置づけ
まず、現在のワクチン株の整理です。
- 2025-26北半球ワクチンのH3N2：A/Croatia/10136RV/2023（J.2系統）など
- 2026南半球ワクチンのH3N2：A/Singapore/GP20238/2024類似株（細胞培養）やA/Sydney/1359/2024類似株（卵培養）が推奨:contentReference[oaicite:6]{index=6}
- サブクレードK：J.2.4.1としてJ.2からさらに進化した「枝」で、2025年後半から世界各地で急増
ECDCなどの解析では、サブクレードKがこれらのワクチン株から抗原性の面で大きく離れており、「ワクチンとのミスマッチ」が生じていると評価されています。:contentReference[oaicite:7]{index=7}
| ワクチンシーズン | H3N2ワクチン株 | サブクレードKとの関係 |
|---|---|---|
| 2025-26北半球 | A/Croatia/10136RV/2023（J.2） | サブクレードKはJ.2.4.1で、複数の変異により抗原性が乖離。 |
| 2026南半球 | A/Singapore/GP20238/2024、A/Sydney/1359/2024などJ.2系統 | こちらもJ.2系統を代表する株で、Kとはさらに進化の距離があると評価。:contentReference[oaicite:8]{index=8} |
| 今後の候補株 | A/Norway/8765/2025（サブクレードK代表株）など | サブクレードKにより近い候補ウイルス（CVV）として、今後のワクチン株選定で検討される可能性。 |
この章の要点
- 現行（2025-26北半球、2026南半球）のワクチン株はいずれもJ.2系統ベースで、サブクレードKとは距離がある。
- サブクレードKは、既存のワクチン株からさらに進化した枝として位置づけられている。
- サブクレードKに近い株が、今後のワクチン候補として検討されつつあると報告されている。
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WHOの株選定サイクルと「サブクレードK追加」のタイミング
WHOは、年2回（2月頃と9月頃）に世界中のデータをもとに翌シーズンのワクチン株を決定します。
- 2月：北半球「翌シーズン（例：2026-27）」向けの株を決定
- 9月：南半球「翌年（例：2027）」シーズン向けの株を決定
サブクレードKは、2025年南半球シーズン終盤〜北半球シーズン開始後に急増したため、すでに決定済みだった2025-26北半球株、2026南半球株には間に合いませんでした。そのため、「ミスマッチ」が避けられなかったという側面があります。:contentReference[oaicite:9]{index=9}
2025年9月のWHO会合では、こうした状況を踏まえ、サブクレードKを含むJ.2.4系統の動向が詳細に議論されており、今後の北半球（2026-27シーズン以降）に向けて、より近い株が検討される土台ができつつあります。ただし、2026-27北半球ワクチンの正式な株リストは、2026年2月の会合まで「未確定」です。
この章の要点
- サブクレードKは、ワクチン株が決まった「後から」急増したため、2025-26・2026シーズンのミスマッチを招いた。
- 株選定は年2回のサイクルで見直されており、サブクレードK系統が今後の候補に上がる素地は整ってきている。
- 実際にどの株が採用されるかは、2026年以降のWHO会合で正式決定されるまで未確定。
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「サブクレードK追加」で何が変わる？想定されるメリットと課題
仮に今後、サブクレードKに近い株がワクチン成分として正式採用された場合、次のような変化が期待されます。
| 観点 | 期待されるメリット | 想定される課題・注意点 |
|---|---|---|
| 感染防御 | 現在より「型が合う」ことで、発症そのものを防ぐ効果が改善する可能性。 | インフルエンザワクチンはもともと完全防御ではなく、効果はシーズンごと・世代ごとにばらつく。 |
| 重症化予防 | 高齢者や基礎疾患のある人で、入院・死亡リスク低減がさらに期待される。 | 変異のスピード次第では、新しい株が出現し、またズレが生じる可能性もある。 |
| 製造・供給 | 流行株に近いワクチンが使われることで、疫学的な効果が高まる。 | 新しい株への切り替えには製造・検証時間が必要で、供給スケジュールに影響し得る。 |
また、サブクレードKはH3N2の中でも進化した系統であるため、「次の新しい枝」がさらに現れる可能性も常にあります。そのため、ワクチン株がK寄りに変わったとしても、「一度決めれば安心」というより、毎年の見直しが前提となります。:contentReference[oaicite:10]{index=10}
この章の要点
- サブクレードKに近い株がワクチンに追加されれば、感染防御・重症化予防の両面で改善が期待される。
- 一方で、インフルエンザの変異スピードが早いため、「追いかけっこ」が続く可能性も高い。
- ワクチンは毎年アップデートされる「シーズン制」であり、情報も毎年アップデートしていく必要がある。
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今の時点で私たちができること
サブクレードKがワクチン株として正式に追加されるかどうかは、今後のWHO会合や各国当局の判断次第であり、2025-12-01時点では「検討中・未確定」の段階です。現時点で私たちができる現実的な対策は次のとおりです。
- 今季のワクチンについては、特に重症化リスクが高い人を中心に接種を検討する。
- 毎年、厚生労働省やWHOなどの公的機関が発表する「その年のワクチン株」を一度は確認する。
- ワクチンの有無にかかわらず、マスク・手洗い・換気・早期受診という基本を続ける。
- 来季以降も、「どの株が追加されたか」より「自分や家族がどう守られるか」に着目して情報を見る。
この章の要点
- サブクレードKの正式なワクチン追加は、2026年以降の株選定で議論される見通しだが、まだ確定情報ではない。
- 現時点では、今季ワクチン＋基本対策でリスクを下げつつ、来季以降の情報アップデートを待つ姿勢が現実的。
- 不安を感じたら、ワクチン接種歴や持病の有無を踏まえて、かかりつけ医に相談することが安心につながる。
